Guillaume Dufay (c.1400-1474)
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中世後期のヨーロッパでは各国ごとに独自の音楽が発達していた。 列挙するなら、イギリスでは三和音を中心とした充実した和声法、フランスでは イソ・リズム法 と 呼ばれる方法を用いた構成的な作曲法、またイタリアでは旋律優位の 音楽書法といった具合である。各国の音楽はそれぞれに個性的であり 魅力的でもあったのだが、またそれぞれ弱い面も持ち合わせていた。
しかし ブルゴーニュ楽派 の 巨匠デュファイの登場に及んで、それら諸々の手法は一つにまとめあげられ、 これによって音楽の総合化・国際化への道が開けることになる。デュファイの 次の世代にあたる フランドル楽派 の 音楽語法が全ヨーロッパ共通の基盤になりえたのも、デュファイの業績に 立脚していると言えるだろう。またデュファイは既存の音楽を 融合させただけでなく、対位法書法も発展させることで新しい流れを作り、 それはそのままルネサンス音楽の大きな特徴の一つとなっていく。
このようにデュファイの音楽は様々な意味で音楽におけるルネサンス時代の 幕開けを告げるものといえる。そしてもう一つ、その音楽のルネサンス的な重要な 側面として、それまでの音楽には見られないほどの人間的な表現意欲があげられる。 諸々の高度な技法は、技法そのものを目的とすることなく、明確な表現意欲に 向かって統一されて活用されており、その中心には常に人間性が感じられる。
ある意味でこれは最もルネサンスらしい側面と言えるかもしれない。 合理的精神の発達と人間性の回復こそが、音楽に限らないルネサンス芸術の 共通の特徴なのであるから。