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音楽資料室中世ルネサンスバロック古典・ロマン派近現代解説項目

ルネサンス

時代背景
ルネサンス音楽概観
作曲者とその作品
Dufay
  生涯
  音楽史上の位置
  Nuper rosarum flores
Ockeghem
  生涯
  音楽史上の位置
  Missa Pro Defunctis (Requiem)
Josquin des Prez
  生涯
  音楽史上の位置
  La deploration sur la mort de Johannes Ockeghem
  Missa Pange Lingua
Palestrina
  生涯
  音楽史上の位置
  Dum Complerentur
Lassus
  生涯
  音楽史上の位置
  Pater Abraham
Byrd
  生涯
  音楽史上の位置
  Ne irascaris Domine
Victoria
  生涯
  音楽史上の位置
  O magnum mysterium

William Byrd(c.1543-1623)
ウィリアム・バード

最終更新日: 2002年3月24日
[Byrd]->[音楽史上の位置]

音楽史上の位置

イギリスはルネサンス以前には音楽先進国であったが、ばら戦争という 内乱による国の疲弊のため、15世紀の後半には フランドル に 大きく遅れ、低迷の時代を向かえていた。16世紀に入って タイ、 タリスらの作曲家の登場によって徐々に回復されてはきたものの、16世紀 後半になっても大陸の音楽のレベルに追いつくまでには至ってはいなかった。

このイギリスの音楽を大陸の音楽と比較できるほどのレベルにまで高めたのが バードである。彼の音楽には技法的には際立って新しいものはなく大陸の 通模倣様式 に 依っているが、その旋律は叙情的で美しくそのデリケートな絡みは イギリスの音楽にふさわしい。

またバードの作品は大陸のものと比較するとややホモフォニーの傾向が強いが、 これはイギリスの伝統的な手法に基づいている。そこで聴かれる長三和音には イタリアの曲のような華やかさはあまりなく、柔らかく暖かい響きとして 鳴り響く。これもイギリス人が好みとするところであろう。

バードの作品はこのように大陸とイギリスの書法の融合によって 作られているが、そこに彼独自の構成力が加わりスケールの大きいものに 仕上がっている。その作品はイギリス独自のものでありながら、今や大陸の パレストリーナビクトリア に比しても決して劣るものでは なくなった。彼が存命中から「イギリス最大の音楽家」と 賞賛されていたのも、また当然といえよう。

(宮内)


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