古典・ロマン派音楽概観1 〜古典派の時代最終更新日:
2002年3月21日
18世紀の半ばには社会は啓蒙主義の時代を迎え、市民達の権利の主張、 人間性の解放を目指した活動が次第に活発となってきた。 この活動はやがてフランス革命に到達し、それまでの専制君主の時代から 市民社会の時代を迎えることとなる。この社会の重大な変化が、 音楽に影響を与えないはずはなかった。 バロック音楽、特に豊かな装飾を伴うフランスの後期バロック音楽は 本質的に貴族の音楽であった。それに対して、当時力をつけつつあった市民達は、 当時の気運に乗って音楽を含む芸術に対して、もっと単純明快で合理的な 精神に基づく作品を望むようになった。折しも、当時は音楽史上から見ても 長短調に基づく調性が確立し和声論が発達した時代でもあり、 これらの要素が相まって音楽は古典主義の時代に転換を迎える事になる。 ただし古典派の音楽の始まりをどこに置くかは、音楽史上の時代区分において 最も意見の分かれるところでもある。本資料室では、その始まりは 1762年に作曲されたグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」に 置くことにした。それまでのイタリア・オペラのアリアの装飾過剰から、 あくまで劇進行に重点を置くように転換したグルックのオペラ改革は、 古典派音楽の始まりを示すのにふさわしいと考えたためである。 古典派の音楽はその後ハイドン、モーツァルト、ベートーフェンらによって 発展を遂げるが、その音楽の特徴は、機能的な和声進行と旋律美からなる ホモフォニーの音楽にある。曲の構造も8小節単位の楽節構造や2つの主題の 展開から構成されるソナタ形式など、客観的な構成力が目につく。また、 交響曲や弦楽四重奏曲など今日のいわゆるクラシック音楽の 主要レパートリーが確立した時代でもあった。 Copyright © 2002 M.A.B. Soloists, All Rights
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