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各地域のラテン語の発音この資料室では、それぞれのラテン語の特徴を簡単に紹介する。 ただし、発音記号に関しては、読者の簡便を考え、各ラテン語毎に一覧表を 記載することとした。このラテン語の分類は、基本的には、McGee氏著書の Singng Early Musicに基づいているが、一部初学者が分かり易いよう 分類を変えている。また、発音記号自体は、IPA-ASCIIを用いた。
イタリア ラテン語イタリア ラテン語の特徴の1つは、中世ラテン語の基本的な特徴である 強勢アクセントである。ただし、フランス ラテン語、および ピカデリ ラテン語はこの中世ラテン語の特徴を持たない。 イタリア ラテン語は、アクセントの位置が、古典ラテン語と同じである。 つまり2音節からなる単語では、語頭にある。3音節からなる単語では、 語尾から2番目の音節の母音が長母音の場合にはその音節にアクセントがある。 それ以外では、語尾から3番目の音節にアクセントがある。 4音節以上からなる単語では、第二アクセントがある。 また、二重母音がそれぞれ個別に発音されることも古典ラテン語と同じである。 イタリア ラテン語は、北部と南部で若干発音が異なるため、ここでは2種類を示す。 →[イタリア北部の発音一覧表] スペイン ラテン語スペイン ラテン語の特徴は、古スペイン語に同じ意味のある言葉は、 古スペイン語のような発音が用いられ、ラテン語として学ばれる多くの言葉は、 その導入された場所および時期の発音の影響を受けていることである。 よって本来ならば個別に述べる必要があるが、 ここでは、15世紀末までとそれ以降の2種類の一般的な発音を示す。 →[15世紀末までの発音一覧表] ポルトガル ラテン語ポルトガル ラテン語は、他のラテン語に比べて、不明な点が多い。 現時点では、ポルトガル ラテン語は、その他のラテン語のように母国語の 影響を受けることが少なかったため、アクセントの位置および音節の区切りが、 イタリア ラテン語とほぼ同じであったと考えられている。特徴といえば、 そのアクセントはイタリア ラテン語より強勢であったことであろう。 →[発音一覧] フランス ラテン語フランス ラテン語ほど、母国語の発音の影響を受けたラテン語は他に類を見ない。 基本的に彼らは、フランス語のようにラテン語を話した。 よってその特徴は以下のように要約できる。 アクセントの位置は、語尾に置かれ、長母音となる。 特にフレーズの終わりでは、この特徴は、顕著である。 無声化については、子音は当然、時には音節自体が失われることもある。 音節の区切りは、基本的に母音で音節を切るという特徴がある。 たとえば、Christeの場合には、音節は、Chri・steとなる。 ここでは、主だった3つの時代の発音を示す。 →[12世紀から13世紀末の発音一覧] ドイツ ラテン語アクセントの位置については、基本的にイタリア ラテン語と同じであるが、 第2アクセントの位置はおおむね語頭であるところに特徴がある。 また、アクセントの音節に関しては、開音節の場合、14世紀終わり頃までは、 短母音であったが、それ以降は基本的に長母音となることが特徴である。 また、アクセントが閉音節の場合は、短母音であった。 アクセントのない音節の母音も、短い母音であった。 アクセントある音節については、2音節以上から成る単語では、 基本的に後ろから3番目の音節に置かれた。また、4音節以上の単語の 第2アクセントの位置は、おおむね語頭であった。 →[ 発音一覧表] イギリス ラテン語イギリス ラテン語は、音節の区切りはドイツ ラテン語と同一と考えられるが、 基本的にアクセントがある音節はすべて長母音であることが特徴である。 また、アクセントが置かれる音節に関しては明確な規定がないことも 特徴的である。実際にどの音節にアクセントが置かれているかを知る 手がかりとしては、音楽に関しては、アクセントのある音節は、 音符自体が引き伸ばされている可能性が高いので、それを参照すると良い。 また、長い間、イギリスにはラテン語の辞書が存在しなかったため、 スペルが一定していない、そのため、原本をあたるときには特に注意が必要である。 ここでは、15世紀末までとそれ以降の2種類の発音を示す。 →[15世紀末までの発音一覧表] ピカルディ ラテン語基本的にフランス語圏に属していたため、ラテン語においてもフランス ラテン語の 特徴を示す。つまり、語尾にアクセントが置かれ、かつその母音は長母音化した。 このアクセントは、フランスアクセントより強かったと言われている。 子音の省略もフランス ラテン語と同様に盛んに行われた。 →[発音一覧表] ネーデルランド ラテン語現在のベルギー、オランダおよび北フランスの一部を含む領域のラテン語を指す。 この地域も時代によりフランス文化的色彩を帯びたり、ドイツ文化的色彩を 帯びたりするため、どのようなラテン語を用いていたかを特定するのは 非常に難しいが、基本的にゲルマン語の影響が強いため、ドイツ ラテン語系の 特色を受け継いでいると筆者は考えている。 →[発音一覧表] Copyright © 2002 M.A.B. Soloists, All Rights
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