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近現代音楽概観2 〜第一次大戦前の音楽

最終更新日: 2002年3月21日
[近現代]->[音楽概観1]->[音楽概観2]

1. 印象主義

ロマン派へのアンチテーゼは、まずフランスから提示された。 ドビュッシーによる印象主義の音楽がそれである。

ドビュッシーは「牧神の午後への前奏曲」の中で、 和声進行、リズム、動機展開に至るまで これまでの形式的な構成を完全に解体し、 ただ魅力的な音響現象だけを残すという大胆な作風を確立した。 五音音階や全音音階などの非西欧的な音組織、 解決を必要としない色彩的音響としての不協和音、 躍動的で変化に富んだリズム、展開せずに繰り返される断片的な旋律など ドビュッシーの提示した音楽はドイツ音楽からの完全な脱却であった。

この作風はやがて絵画のそれをまねて印象主義と呼ばれるようになるが、 印象主義は本質的にドビュッシー個人の語法以上に発展せず 楽派を生み出さなかったため、やがて跡絶えるものとなる。 しかし、これ以後の古典・ロマン派音楽解体の引き金として、 その意義は大変大きいものがあったといえる。

2. 原始主義

印象主義に続いた新たなアンチテーゼは ロシア生まれの作曲家ストラヴィンスキーによって提示された。 第一次大戦前の彼の作風は原始主義と呼ばれている。

原始主義時代のストラヴィンスキーの代表作といえば、ディアギレフ主宰の ロシアバレエ団のために作曲した「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」 の三大バレエ曲をおいて他にない。そこでは、ロシアの民族音楽の生命力を 取り入れた原色的で強烈な音楽を展開されており、 単なる異国主義のような借り物としての民族音楽ではなく、 音楽の根本原理に民族音楽の要素が活用されている。

その作風の特徴はまずリズムの優位性にある。原始主義の音楽にあっては、 それまでの音楽に特徴的だった周期的なリズム構造から脱却し、 頻繁な拍子の変更や不規則なアクセントによる鮮烈なリズムが展開されている。 また和声の面では、平行和音や複調(複数の調が同時に展開する音楽)を 取り入れることによって機能和声からの離脱が計られているが、 ここには民族音楽と同時に印象主義からの影響も見受けられる。

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(宮内)


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