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Ave coelli munus supernum
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[Lully]->[Ave coelli munus supernum] |
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ヴェルサイユ宮殿で活躍したリュリは、オペラやバレエなどの 舞台音楽および大モテットの分野で広く知られているが、小編成の 器楽伴奏のみを伴う小モテットにも佳作を残している。 この作品はその中の一つであり、フランス特有のhoute-contre声部を含む 男声3声と通奏低音という編成のために書かれたモテットである。
曲は2部からなり、各パートがそれぞれソロを受け持った後に 3声によるポリフォニーが通奏低音上に展開される。 その端正な曲構成からはフランス・バロックらしい気品が感じられるが、 その一方で、ややルネサンス的な趣きのあるそのポリフォニーの展開や、 「死」という言葉"morietur"を際立たせる半音進行による 下降音型からは、モンテヴェルディらを彷彿とさせる イタリア初期バロック音楽からの影響も感じられる。
小モテットは舞台音楽や大モテットと異なり、どのような機会で 演奏されたかが分かっていないものが多い。この作品も 作曲の契機は分かっていないが、歌詞は聖体拝領の内容を歌っており、 男声3声という低い音域のみの渋い編成ながら、深い祈りをたたえた 心を打つ小品に仕上がっている。
歌詞対訳
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M.A.B. 演奏
(冒頭 1分間、au 形式、480k) |