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中世音楽概観1 〜中世の音楽とは最終更新日:
2002年3月31日
中世の音楽と一口に言っても、グレゴリオ聖歌の誕生から15世紀の半ばまでの 500年以上の音楽全てを指すことになる。本資料室では収録するレパートリーを
多声音楽(男声合唱)に限定しているため、本格的な多声音楽の誕生した 1150年頃以降の音楽をその対象にしているが、それでも300年近くの範囲を
カバーすることになり、その間には様々な様式の変化が含まれている。
1150年頃以降の中世音楽の中心地としてはフランスが最も重要であった。 そこでの変化をまとめると以下のようになる。
これらの様式の特徴と相互の関係は次節で触れることとするが、 この時代を通じての音楽の特徴は当時の音楽理論に基づく知的な作曲技法 にあったといえる。実際に聴くとまず印象に残るのは3連符を主体にした そのリズムであろう。これはキリスト教の三位一体(父、子、精霊)の教え と関わりがあると言われる。また協和音として1度、5度、8度のみを 扱いながらも、不協和音を積極的に取り入れたその音響も印象的である。 アルス・ノヴァ以降となるとその音楽はますます複雑となり、 イソ・リズム法という曲構造も発達する。その音楽は一聴して不思議な魅力を 与えるが、楽譜を詳細に検討するとその背後には当時の細密画を 連想させるような緻密な構成があることが明らかとなる。 数学的ともいえるその高度な手法こそ、音楽が学問であった中世の 音楽の神髄ともいえるものであろう。 Copyright © 2002 M.A.B. Soloists, All Rights
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