最近のCDより

パーセル:アンセム&賛美歌集

S-ヴィヴァルテ SRCR-9985
2,800円
曲目
パーセル
「つねに主にありて喜べ」
「目覚めよ、耳を傾けよ」
「汝、眠らざる羊飼いよ」
「主よ、我御身に依り頼む」
ロック
「オルガンのための3つのヴォランタリー」
他全10曲
演奏者 
   Cd,Or グスタフ・レオンハルト、ピリオド・インストゥルメント・アンサンブル
   Cho   テルツ少年合唱団
   A     デヴィッド・コーディアー
   T     ジョン・エルヴィス
   B     ペーター・コーイー、ハリー・ヴァン・デル・カンプ

パーセル没後300年を記念する録音やコンサートが相次いでいるが、 その中で巨匠レオンハルトがパーセルの宗教曲を録音したのがこのアルバム。 パーセルの歌曲やオペラは最近では演奏されることも多くなったが、 その宗教曲、特に合唱曲に関してはまだまだ聴かれる機会も少なく、 貴重な録音といえるだろう。

収録された曲目は弦楽合奏伴奏付でソリストと合唱が交互に歌う ヴァース・アンセムが中心で、 その中にレオンハルトのオルガン演奏とハリー・ヴァン・デル・カンプ のソロによる賛歌を挟むという形で構成されている。

その演奏メンバーは女声は一切入れないというレオンハルトらしい布陣。 ソリストは皆、個性はそれほど強くないが堅実な実力者揃いであり、 テルツ少年合唱団はいつも通りの安定した演奏で 終始ピュアな響きを楽しむことが出来る。

パーセルといえばバロックの音楽様式と英語のテクストを見事に 一致させた作曲家として有名であるが、 その特色は比較的初期の作品であるこれらのアンセムの中にも すでに十分現われているといえるだろう。 レオンハルトの作るリズムを重視した音楽の中で そのテクスト本来の発音とリズムが十分活かされているように感じる。 今回録音された曲の中で最も初期の作品はパーセルがまだ18才 の時のものであるらしいが、さすがは「イギリスのモーツァルト」 と呼ばれるだけのことはあるといえるだろう。

ただ正直なところ、パーセルの主要な劇作品に比べて 今回録音された作品の音楽的密度はそれほど高くないように感じる。 パーセル愛好家にとっては楽しめる曲目ではあるけれども。

(宮内)


[ M.A.B. Home Stage] [12月号目次]