演奏者 Cd 鈴木雅明 S 鈴木美登里、栗栖由美子 CT 米良美一 T マリウス・ファン・アルテナ、 ハリー・ファン・ベルネ B 小笠原美敬、小田川哲也、浦野智行 Orch, Cho バッハ・コレギウム・ジャパン Z,Sb コンチェルト・パラティーノ
この日の主役は何と言っても、コルネット(マウスピースのつ いた角笛のような楽器)3本とサックバット(トロンボーンの 先祖)3本によるコンチェルト・パラティーノの器楽アンサン ブルであろう。コルネット独特の音色と安定感のある演奏で、 この曲本来の雰囲気を十分に引き出していた。
また、合唱・ソリスト共に普段のバッハの演奏よりも安定感の ある好演。しかし、これは普段演奏しているバッハの声楽曲が いかに難曲であるかの現れかもしれない。ソリストの中では、 特にテノールの2人が美しい朗唱を聴かせてくれたが、後半に 入って1人が破綻してしまったのが惜しまれる。
曲の間に挟んだグレゴリオ聖歌の演奏は、大きめの譜面台(お そらくはネウマ譜が置いてある)を数人の男声で囲み、ソプラ ノの鈴木美登里がモクロー曲線を描いて指揮するというスタイ ル。鈴木美登里の意外な一面を見ることが出来たのが興味深かっ た反面、聖歌を歌う男声陣は朗唱風の歌い回しが今一つである 上に、揃ってピッチが下がりぎみで不安定であった。いかにス タイルが正統的であっても、形だけでは意味がないことを感じ させた。
この他印象に残ったのは、チェンバロ、オルガン、チェロ、ガ
ンバ、リローネ、テオルボを巧みに組み合わせた通奏低音陣の
充実ぶり。特にリローネ(奏者:デヴィット・ハッチャー)と
テオルボ(奏者:永田平八)を組み合わせたときの、初期イタ
リア・バロックらしい独特の雰囲気が良かった。
(宮内)