最近のコンサートより

9月13日(水)

バッハ・コレギウム・ジャパン結成5周年記念演奏会

モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》
お茶の水:カザルスホール 19:00
演奏者
   Cd 鈴木雅明
   S 鈴木美登里、栗栖由美子
   CT 米良美一
   T マリウス・ファン・アルテナ、 ハリー・ファン・ベルネ
   B 小笠原美敬、小田川哲也、浦野智行
   Orch, Cho バッハ・コレギウム・ジャパン
   Z,Sb コンチェルト・パラティーノ

古楽器オケによるバッハカンタータ全曲演奏を目指すバッハ・ コレギウム・ジャパンが、共演者にコンチェルト・パラティー ノを招いてモンテヴェルディの宗教曲の傑作を演奏。この曲の 古楽器による全曲演奏が自体が珍しく、また曲の間にはグレゴ リオ聖歌を挟みながらの演奏で、聴きどころの多いコンサート となった。

この日の主役は何と言っても、コルネット(マウスピースのつ いた角笛のような楽器)3本とサックバット(トロンボーンの 先祖)3本によるコンチェルト・パラティーノの器楽アンサン ブルであろう。コルネット独特の音色と安定感のある演奏で、 この曲本来の雰囲気を十分に引き出していた。

また、合唱・ソリスト共に普段のバッハの演奏よりも安定感の ある好演。しかし、これは普段演奏しているバッハの声楽曲が いかに難曲であるかの現れかもしれない。ソリストの中では、 特にテノールの2人が美しい朗唱を聴かせてくれたが、後半に 入って1人が破綻してしまったのが惜しまれる。

曲の間に挟んだグレゴリオ聖歌の演奏は、大きめの譜面台(お そらくはネウマ譜が置いてある)を数人の男声で囲み、ソプラ ノの鈴木美登里がモクロー曲線を描いて指揮するというスタイ ル。鈴木美登里の意外な一面を見ることが出来たのが興味深かっ た反面、聖歌を歌う男声陣は朗唱風の歌い回しが今一つである 上に、揃ってピッチが下がりぎみで不安定であった。いかにス タイルが正統的であっても、形だけでは意味がないことを感じ させた。

この他印象に残ったのは、チェンバロ、オルガン、チェロ、ガ ンバ、リローネ、テオルボを巧みに組み合わせた通奏低音陣の 充実ぶり。特にリローネ(奏者:デヴィット・ハッチャー)と テオルボ(奏者:永田平八)を組み合わせたときの、初期イタ リア・バロックらしい独特の雰囲気が良かった。
(宮内)


[ M.A.B Home Stage] [10月号目次]