トン・コープマン
Ton Koopman

1944年生まれのオランダの指揮者、チェンバロ奏者、オルガン奏者。 1965年からアムステルダムの大学院でレオンハルト、ヤンセンに師事し、 その後レオンハルト門下鍵盤奏者のNo.1との評価を確立する。 1979年にはアムステルダム・バロック・オーケストラ、 1992年にはアムステルダム・バロック合唱団を結成し今日に至る。

「静のレオンハルト、動のコープマン」とよく言われるように、 コープマンの演奏の特徴は躍動感と運動性にある。 特にそのオルガン演奏はヴァルヒャが確立したバッハのオルガン曲の イメージを根底から覆すような動きのあるもので、 アルヒーフからのオルガン全集が打ち切りになった原因の一つは そこにあったとの噂さえある(真偽は定かではない)。 バッハの「フーガの技法」ですら、彼の手にかかると まるで踊り出したかような演奏が展開されていく。

最近は指揮者としての活躍が目立つようになっているが、 そこでも彼の豊富なアイディアとバイタリティを見せつけている。 モーツァルトの交響曲全曲録音を一気に行ったり、 バッハのマタイ受難曲とヨハネ受難曲を立て続けに録音したりできるのは、 彼くらいのものであろう。ただそれが、そのまま各録音の 密度の薄さにつながっているようで残念である。

なおコープマンは最近「今世紀中にバッハの全作品の80%を録音する」 と豪語し、オルガン全集とカンタータ全集を2本柱として その録音プロジェクトを進行中である。

(宮内)


Copyright (C) 1995,1996 M.A.B. Soloists, All Rights Reserved.