本グループは指揮者 ピーター・フィリップスにより1978年に結成され、 その知名度およびその正確なピッチ、安定した和声において、ルネッ サンス音楽の世界観を変えた。ピーター・フィリップス自らが述べている通り、本グループはデュフ ァイ後期より17世紀初頭まで という限られた時代の音楽のみを演 奏の対象とし、その音楽解釈においても情緒的に演奏されることの多 いルネサンス音楽の知的な響きに着目し、飽くなきハーモニーの追 求を行っている。それは、和声バランスの点から基本的に各パート2 人および高声部は女声という構成、絶対に楽器を使うことがないとい う徹底ぶりからも読み取れる。ただ、このような音楽解釈が本グルー プの表現を画一的なものとしているのは、仕方ないことではあるが非常 に残念でならない。
彼らの演奏は、独自レーベルであるギメルレコードによる録音で聞く ことができ、過去2回のグラモフォン誌レコード オブ ジ イヤーを 受賞していることからもその実力を知ることができる。
1994年には、パレストリーナ没後400年にあたる2月2日（彼の命日）に 彼が楽長を務めたサンタ・マリア・マジョーレ教会で没後400年記念特 別演奏会を行い、またシスティナ礼拝堂の修復にあたっても修復記 念演奏会を行うなど、歴史的に重大な行事の記念演奏を任されると いう栄誉を与えられた。
（新郷）